金利差があってもドル高になるとは限らない理由〔未来創成学特論 第三講〕

今日は、みなさんに

ある習慣を身に着けるためのトレーニングを行おう。

最初に断わっておくが、

この記事は受講生向けに書いたもの。

そういった心構えもないのに、あれこれと非難するのはご遠慮していただこう。

 

さて

最近よくありがちな記事であるが、例えばこれ

>米中の貿易摩擦が深刻化するとの見方から原油資源国や新興国の通貨が売られたほか、米国が中国製品に関税をかけることで物価が上昇するとの見方が広がり、ドル高になったとみられている。

前半も意味が不明瞭だが、後半の

「物価高」→「ドル高」

がこの俺にはまったく理解不能である。

物価が高くなったら、買えるものは少なくなる。

貨幣の力の源泉は、たとえば1ドルでどれだけ買えるかだから

物価が高くなったら、ドル安じゃないのか??

この記事の著者は、本物など見つかることの少ないこのご時世において、まさに本当のミステリー作家といえる。

関税による物価高は、完全にコストインフレであるから

景気実体が良くなるわけじゃない

一部産業は助かるかもしれないが、たとえばそれを部品に使っている他の産業、そして消費者は打撃を受けることになる

だから、関税による金利の上昇も見込めない。

となると、物価が高くなった分だけ、通貨の価値は目減りすると考えるのが妥当ではないのか

これは関税が通貨高をもたらすものではなく、逆に通貨安をもたらさざるを得ないことを意味する。

著者が何故、通貨高を主張するのか

私には思いつくような根拠が見られない

 

もう一つ、この記事の後半部にある記述についても

注意を喚起しておきたい。

>>「日米の金利差もあり、結局はドルを保有していた方がよいと考える投資家が多いのかもしれない」

金利の高い通貨を保有することが有利か???

まあ、短期的には有利なこともあるが

長期的に為替変動リスクがあることはご承知のとおりである。

一般的にいえば

高金利通貨が、高金利である理由としては

景気が良いからであろう

つまり、インフレである

逆に言えば、インフレを抑えるために、高金利にしているとも言える

インフレということは、前記したように、時間と共に物価が高くなり、貨幣の価値が減耗することを示している。

だからその側面からは通貨安となる。

勿論、金利高による価値の創造の部分があるから

結局のところのプラスマイナスゼロになると考えるのが自然ではないだろうか。専門的にはこれを金利平価と呼んでいる。

このことについて、疑問をもつ場合には

とりあえず以下の点について、調べてみるとよいと思う。

一つは、国内債と外国債の運用利益が、

長期的な統計にたてば、大きな違いはなく

金利の高い外債で運用したからといって、儲かるわけではないという事実である。

もう一つは、世界中の高金利通貨が、

為替市場で、定常的に上げて続けているかどうか(むしろ下げていることも多いはず)

この二点である。これで不足の場合は

過去の利上げ後の為替の動きの検証

こちらを確認してください。

>>過去3回のアメリカ利上げ時のドル円の動きを見てみると、上昇するどころが下落する流れのほうが強いように見えますね。

>>理論的に考えると上昇するはずなのに、実際にはいったんは下落してしまっているというのが現実なんです。

こちらの著者も理論的には上昇すると考えていたようだが、しかし、結果はむしろ下落している

 

ここまで説明してもまだ事実を受け入れがたい場合には

以下のような思考実験をお勧めする。

もしも、本当に金利の上昇が真の意味での価値創造を意味するものであれば、利上げは、その通貨自体の価値を高めるわけであるから、それは確かに通貨高をもたらすことになるといえる。

しかし、もしそうであれば

どの国もこぞって、金利を上げまくるのではないだろうか。

利上げとは、価値の湧き出す魔法なのであるから。

いやマテ、しかしそんなことをしたら、利率が高すぎて、企業がファイナンスできなくなってしまうだろうと思うかもしれない。

しかし、そんな心配はそもそも存在しない。

何故かといえば、究極の高金利社会においては

今や金利だけで、飯を食っていける程度に高金利なのであるからして、わざわざ借金してまで企業活動などという面倒なことをして、アクセク稼ぐ必要は、もはや必要ないはずである。

まさに、ユートピアの実現である。

しかし、人類の歴史2000年以上を経て

未だユートピアなどは実現していないわけであるから

結局のところ、最初の仮定である

金利の上昇が真の意味での価値創造を意味スル

が間違っていたことになりはしないだろうか。

 

最後にあえていうまでもないことだが、

誤解の無いように、補足しておくと

今回私が言いたかったことは

ここに書いたことが正しいと主張したいのではない。

たとえそう主張したところで、どんな理屈にも穴はあるものである。

反論の余地があることは百も承知である。

俺が言いたいことは

この手の記事を見た時に

アナリストや記者が書いたのだから、

正しいに違いないと鵜呑みにするのではなく

本当はそうじゃないんじゃないかと

必ず疑問を持つという「習慣」を身につけようということだ。

 

「金利差があってもドル高になるとは限らない理由〔未来創成学特論 第三講〕」への2件のフィードバック

  1. 確かに!経済は生き物なので理論上通りには行かないのが事実であります。クリントンさんの時代は金利が上昇したにも関わらずドル円100円以下の円高でした。国と国の感情も入ることもありまた国の安定ですね、こういうことからも金利で強弱つけられません。トルコリラですが10年前100円今22円金利7%国の安定が一番ということです。まぁ市場は常に仕掛ける人がいるのでどう判断する洞察力が大事ですけど。
    プラザ合意のようにアメリカのためにひと肌脱いでくれという会合があるかもしれませんが強引企業家のトランプさんはグイグイ自分色に染める行為に走るかもしれません。

  2. なんだかんだ言いながら、気が付けばトランプさんのペースになっているようなところもありますね。金利については、やはり両面あるのかなと思います。ダウは上げていますが、利上げするのは景気が良いからと見れば、株高ですが、もっと一般的にいって金利上昇は株安要因なので。

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